テレビ番組『トリビアの泉』の”トリビアの種”のコーナーで、「これは嘘だと思うことわざで一番多いものは何」という様なものがあったのを思い出しました。
ふと気になって調べてみたところ、流石は当時超人気だった高視聴率番組。
ネット上に大量の記録が残っており、容易く情報を手に入れることができました。
正しくは、『80歳以上のお年寄りが一番嘘だと思うことわざは何』でした。
調査結果は以下の通りでした。
10位 早起きは三文の徳
9位 残り物には福がある
8位 三人寄れば文殊の知恵
7位 好きこそものの上手なれ
6位 長い物には巻かれろ
5位 石の上にも三年
4位 金は天下の回りもの
3位 渡る世間に鬼はない
2位 老いては子に従え
1位 果報は寝て待て
人生経験の多い2000人のお年寄りの方々への調査なので、説得力は申し分ないでしょうとのことです。
調査結果は大方同意できますが、個人的に納得いかないものもあるでしょう。
私の所感を述べていこうかと思います。
10位 早起きは三文の得(13人/2000人)
意味:早起きをすれば、わずかだが利益があるものだ。
「早起きは三文の徳」と漢字を充てるのが一般的。
ちなみに三文は現在の貨幣価値でいうと、100円に満たないほどだそう。
調査対象は80歳以上の高齢者。多くは仕事をリタイアされているので、特に時間に追われる必要もないということでしょうね。
私としては、早起きは三文以上の得と考えます。
起床時間が遅くなればなるほど、やろうと思っていたこともできなくなりますから…。
だからといって、早起きができるかどうかは全く別の問題なのですが。
9位 残り物には福がある(18人/2000人)
意味:他人の取り残しには思いがけず良いものがあるということ。
私は競争が苦手で、残り物から選ぶ境遇に置かれることが多い為、このことわざは信じるようにしています。
山高きが故に貴からず。外面だけ良くて中身が伴っていないものばかりが先に選ばれ、ボロは纏えど心は錦、そんなものが取り残されているという淡い期待を絶やしません。
8位 三人寄れば文殊の知恵(21人/2000人)
意味:たとえ凡人でも3人集まれば、良いアイデアが生まれるものである。
目的が一致した者同士が真剣に話し合えば、小なりとも何かしらの実りはあるような気がするので、全否定はできないといったところ。ただ、”文殊の知恵”というのは大仰な表現だと思います。
このことわざに対し、愚か者が3人集まったところでどうにもならないという意味の、三人寄っても下種は下種という返しがあります。
7位 好きこそ物の上手なれ(33人/2000人)
意味:好きなことにはおのずと熱中できるので、その上達が早いということ。
これに関しては、大きく意見が二分しそうではあります。
人口に膾炙していることわざだということもあり、”本当だと思うことわざ”にも上位にランクインしてくるような気がします。
実際、番組司会者の3名(タモリさん・八嶋さん・高橋さん)も、この仕事も好きでやっているとおっしゃっていました。
ただ、年齢を重ね運動機能が低下することにより、やりたくてもできないことが増えて来るのでしょう。
近所にプロレス好きのおばあさんがかつていましたが、「あたしも男で若けりゃ絶対にプロレスをやっていた。」とつぶやいていたのを思い出します。
また、”上手”の領域に達するには、好きであることだけでは足りません。何かそれに加えて必要なことがあるのでしょう。
6位 長い物には巻かれろ(41人/2000人)
意味:権力のある者には、おとなしく従っておいた方がよいということ。
こちらもおそらく意見が大きく二分することわざの一つ。
出る杭は打たれるなどともいいますし、周りに合わせて行動するほうが面倒なことに巻き込まれずに済むことが多いです。しかし、意見も言えず行動も制限された地位にとどまるものも息苦しかったりします。
時と場合によりますが、命あっての物種。私は長いものに巻かれることを選んでしまう気がします。
5位 石の上にも三年(49人/2000人)
意味:冷たい石も三年座り続ければ暖まるように、辛抱を続ければ必ず事態が好転する。
辛抱を続けたからといってどうにもならない現実もあります。
また、三年ぽっちじゃどうにもならんという厳しい意見も出てきそうです。
4位 金は天下の回り物(57人/2000人)
意味:お金は一定の場所に留まらず、常に世の中を巡っている。
貧しい者も懸命に働けば大金をつかむチャンスがあり、豊かな者も油断をするとそれを失うことがあるという両者への戒めの文句。
天下=世の中。
実際に金銭は世の中を巡ってはいるのでしょうけれど、細かく見れば、ところどころで堰き止められていたり、あるところには流れてこなかったりと、その通り路は平坦で滑らかとは限らないでしょう。
3位 渡る世間に鬼はない(68人/2000人)
意味:世の中は無情な人が多いように思えるが、存外親切な人も多いものである。
悪事は千里を走りますし、100人に1人でもおかしな人が居たら、世の中は鬼が蔓延っていると錯誤してしまうものです。
実際に無情な人はそんなにはいないと思いますが…、これを嘘だとおっしゃる方は、他人に裏切られ、傷つけられるような大変な人生を経験されてきたのでしょうか。
このことわざよりも、『渡る世間は鬼ばかり』という長編テレビドラマのタイトルのほうがよく耳にしますね。
2位 老いては子に従え(81人/2000人)
歳を取ったら子どもの意見に耳を傾けたほうがよい。
誰からも意見されることなく、自分の好きなように生きたいという人は多いでしょう。その気持ちはわかります。
ただ、時代に即した生き方をするには、若い世代の意見を取り入れることも大事です。
齢10に満たない子どもの片言隻句から学べることも多いものです。
1位 果報は寝て待て(96人/2000人)
幸福の訪れは人の力じゃどうにもできない。焦らず待て。
「果報」とは、前世での行いの結果、今世で受けることになる報いのこと。
2000人のうち96人ものお年寄りがこのことわざを一番間違っている、嘘だと回答したようです。かなりの割合ですね。
”寝て待て”とありますが、誤解を生みやすい表現ではあります。
ただボーっとしていろということではなく、どうあがこうが、その報い(善も悪も)を受けることになるから覚悟せよ!と言っているのだと思います。
当然、寝ているだけじゃあどうにもなりません。
棚から牡丹餅を期待してくいぜを守っていても無為に時間を食うだけです。
天命を尽くして人事を待つ。やるべきことをしっかりとやってきた人がその不安や焦りを抑える為に思い出すことわざであり、何もしていない人が言い訳として使うべきではないということですね。
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さて、長くなりましたが、以上でございます。
「天は二物を与えず」あたりは上位にランクインしていそうな気がするのですが、10位以内には入っていませんでしたね。
どのことわざも、万人に当てはまるものではありません。
その時々に応じて、戒め、慰め、励ましなど、自分の都合の良い解釈に仕立て上げる材料として思い出すものだと考えておくのが良いと思います。
これとは反対に、「80歳以上のお年寄りが一番本当だと思うことわざ」というのも、結果がどうなるか気になりますね。
*1:『トリビアの種:「80歳以上のお年寄りが嘘だと思うことわざは○○」』