日本語仙人の難しい日本語

漢字の読み書き、常套句、ことわざや格言、間違えやすい言葉―。中・上級レベルの日本語を紹介。

「おかげさま」の起源

更新期間が長くなりました。申し訳ございません。

普段何ともなしに日常生活を営んでいる私たちですが、たくさんの人々やその他目に見えない多くの物によって支えられて生きています。

安全で平和に暮らせる今の環境(場所・人間・インフラetc.)に感謝する機会は、多くの方が意識の外に置き忘れてしまっているように思います。私も、ついつい足りない物ばかりを探し、それに対する不満ばかりを心に浮かべてしまいます。

ですが、ふとした事がきっかけで、いつもは実感しない何かに気づくことがあります。

 

例えば…、「木陰(こかげ)」。

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連日にわたり強い日差しが照りつける猛暑真っただ中に、ほんの少しですが涼しさを提供してくれる存在があります。

しかし、立っている樹木は、人間に涼を取ってもらいたくて態(わざ)とそこに立っているわけではありません。そこが成長しやすい場所だったから、幹や枝を伸ばすのに良い環境だったから、そこに立っているのです。

ですが、ゆくりなくも僅かではあるが自分に涼しさを与えてくれた、良い影響を与えてくれた、そんな木に感謝するのです。それがおかげさま(御蔭様)の言葉のはじまりだと言われています。

 

巷ではよく、「感謝をしなさい」「感謝の気持ちを持てば幸せが…」などと言われていますが、具体的にどういうことなのかよくわからないのが実情だと思います。

「ありがとう」と口に出して何回も言うのが良いと謳われていたりします。それも単純明快で効能があり、大変によろしいことだと思うのですが、先ほどたとえで出した猛暑の夏の木陰の存在を認めることのように、自分に良い影響を与えてくれる小さなことに「気づく」ということが感謝そのものなのではないのかなと思います。

「気づき」の能力を高めるには、普段から細かいものにまでアンテナを張り巡らす意識をしていることが必要です。親や友人、会社の同僚や上司、自分が普段使っている道具、いつも履いている靴…。思い返してみると、蔭ながら自分を支えてくれているものであふれていることに気づかされます。

今からでもすぐ実践できることだと思います。読者の皆様も是非「気づき」の視点で日々を過ごされてはいかがでしょうか。

 

それでは、さようなら。