深窓の令嬢(しんそうのれいじょう)とは、俗世間の穢れを知らない純真無垢な女性のことを例えた言葉です。
深窓ということは、窓までの距離が深く(遠く)、大きなお屋敷に住んでいることが窺い知れます。
大きなお屋敷に住んでいるという事は、高貴な身分で、家族やお屋敷の関係者以外に知り合いはいないと思われます。
敷地内には大きなお庭があり、そこを毎日散歩しているのかもしれませんが、家の中から出ることはほとんどありません。たまに外出はしますが、家族総出で乳母日傘(おんばひがさ)。当然色白で、日焼けを経験したことは一度もありません。
俗世間のおそろしさを知らないものの、家庭内での教育は厳しく、丁寧な言葉遣いができて、テーブルマナーはきちんとしています。
…こんなイメージでしょうか。
また、これから派生して、”深窓の令息(しんそうのれいそく)”という言葉もあるそうです。こちらは男の子を言う場合ですね。
似た意味の言葉として「箱入り娘」が挙げられるでしょう。
同様に、過保護に育てられた純粋な女性の例えですが、こちらは貴賤貧富(きせんひんぷ)に関係なく用いられます。深窓の令嬢は箱入り娘ですが、箱入り娘は深窓の令嬢とは限らないということですね。
また、「あの子は箱入り娘だ」などと言った場合、皮肉や軽蔑の意味を少し含んでおり、どちらかと言うと悪い意味で使われているような気がします。
反対の意味を表す言葉は見つかりませんでしたが、敢えて言うとすれば、「世間擦れした女性」となるでしょうか。
こちらは実社会で荒波にもまれ、酸いも甘いも嚙み分けてきました。初心(うぶ)な可愛らしさはありませんが、男を手のひらで転がす術を身に着けています。
娘がかわいいあまりに、外に出すのは危険だとして自分の許(もと)に置いておきたい気持ちもよくわかるのですが…、可愛い子には旅をさせよともいいますし、過保護なのは何より本人のためにならないわけです。
ついでに、日照時間が短いと、ビタミンDの生成やメラトニンの分泌不足からくる生活リズムの乱れにより、精神病のリスクが高まってしまいます。
世間知らずのお嬢様、というだけでなく、子離れがなかなかできない親御さんが居るという背景も見えてくるような気がしますね。
完全に私の空想で「深窓の令嬢」を語ってしまいました。
だってそのような人とお会いしたことが無いんですもの。