日本語仙人の難しい日本語

漢字の読み書き、常套句、ことわざや格言、間違えやすい言葉―。中・上級レベルの日本語を紹介。

読み方の難しい競馬用語

クラシック三冠レースの一つ目、皐月賞(さつきしょう)は、卯月に開催されます。

もともとは名前の通り5月に開催していたらしいですが、クラシックレースの二つ目である東京優駿(日本ダービー)との日程の兼ね合い等々で4月に行われるようになったと言われています。

じゃあなんで「卯月賞」にならないのかというと…、GIにまで格付けされているようなレースの名前を、そう易々と変えられないという至極真っ当な理由からでしょう。

それは、KinKi Kidsが大人になってKinKi Adultsになるわけでもなければ、中年になっても少年隊のままであるのと同じです。

 

今日は漢字の読み方が難しい競馬用語を紹介。

 

 

馬銜

読み:ハミ

馬の口に含ませる金具。

騎手が持つ手綱(たづな)と繋がっており、それを通じて馬に指示を送る。

「馬銜を噛む」とは、馬が走りに意欲的な様子。そのぶん、力んでいてスタミナ消費が激しい。

 

馴致

読み:ジュンチ

競走馬になるために行われる一連の訓練。

”馴”はルールや言いつけに従うこと。なじむこと。

”致”はその状態に至らせること。

 

「馴致」は、競馬以外でもなれさせることなじませることを意味する熟語としても使われる。

「適応」という言葉に近いですね。

 

殿

読み:シンガリ

最後方。

もとは戦国時代の軍事用語で、軍の最後尾を担当する部隊のこと。退却の際に敵の追撃を防ぐ役目。後駆(しりがり)「=後(しり)を駆(か)る」の音変化だと言われている。

競馬では、馬の位置取りが最後方であること。他には、最下位人気のことを「殿人気(しんがりにんき)」、最後方から追い上げることを「殿一気(しんがりいっき)」などと言ったりします。

 

稍重

読み:ヤヤオモ

馬場状態を表す言葉の一つ。

馬場状態とは、コースの含水度合いのこと。水分量が多い順に、不良>重>稍重>良 となる。

雨などでコースが水分を多く含んだ状態になると、当然レースにも大きな影響を与えるわけでして、一般的に芝コースは馬場の方が走りやすく、ダートコースは不良馬場のほうが走りやすいとされています。

 

読み方:ラチ

コースの策のこと。

多くは内側にある内埒のことをいう。内埒の際を走る方が距離ロスが小さい。

 

騸馬

読み方:センバ

去勢された牡馬(ぼば)。

去勢することによって気性が落ち着き、レース運びが安定したり、調教がしやすくなることがある。一方で、種牡馬になることができず、朝日杯FSやクラシック三冠レース(皐月賞・東京優駿・菊花賞)をはじめとする年齢限定レースに出られなくなるなど、不遇な点も大きい。

 

輓曳

読み:バンエイ

荷物を引くこと。

”輓”も”曳”も、船や車を引くことを意味する。

競馬では鉄橇(てつそり)を引くこと。それをする馬が輓馬(ばんば)

北海道帯広市では、輓曳のはやさを競う「ばんえい競馬」が執り行われています。

 

”輓”も”曳”もなかなか見慣れない漢字ですが、それぞれが使われている熟語を挙げるとするならば以下の通り。

輓歌(ばんか)・・「柩(ひつぎ)を輓(ひ)く」ことから、死者を悼む歌。※「挽歌」と表記するのが一般的。

鰓曳動物(えらひきどうぶつ)・・海の砂底に棲む無脊椎動物。気味の悪い見た目をしており、ペニスワーム(←!?)などと呼ばれる。

曳舟(ひきふね)駅・・東京都墨田区に位置する駅の名前。東武スカイツリー線。

 

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以上、「読み方の難しい競馬用語」でした。

それでは、さようなら。