『ワタシってサバサバしてるから』というドラマが、NHKで放送されていました。
簡単に言えば、”サバサバ女子”、略して”サバ女”を自称する主人公とそれを取り巻く人々との人間模様を描いた作品です。
”サバ女”とは、頼りがいがあり、他人にあまり興味がない女性のことをいうそうです。
新しい表現であるだけに定義づけをするのが困難ですが、「他人の色恋沙汰にはあまり興味がなく、ある程度口が堅くてある程度信頼ができる女性」というイメージでしょうか。
クールではあるけれど、ノリが悪いわけでは無いというところが、”ドライ女子”とは異なる点(?)。
何かと「~女子」とか「~男子」といわれるようになりました。この前は「夢女」とかいうのも目にしましたが…。
そもそもなぜ人々はカテゴリー分けしたがるのか?
これはこうだとかあれはああだとか、何かと黒白を争うことが多いですが、人間の本質として、分類できない玉虫色の部分に不安を抱きがちなのだそうです。
昔から「手弱女」とか「女丈夫」みたいな言葉はあったわけですから、今になって始まったことではないということですね。
…さて、今回紹介する言葉はこの前置きとなんら関連はありません。
同じくNHKで鳥の生態についての番組をやっていたので、そういや鳥に関する言葉って難しいのが沢山あるよなぁ…と、ふと思いまとめてみたまででございます。
霞に千鳥(かすみにちどり)
不相応な取り合わせのこと。
霞は春に立つものであり、千鳥は冬に渡ってくるものであるということから、似つかわしくないことのたとえ。
恋愛の場面で使われた場合は、到底縁のないことをさす。
類語
兎角亀毛(とかくきもう)、烏白馬角(うはくばかく)
それぞれ、現実には存在しないもののたとえ。
現実には存在するが見ることができないものは、雨夜の月(あまよのつき)。
鶏群の一鶴(けいぐんのいっかく)
凡人の中に一人だけ傑出した人物が居ること。
原典は『晋書』。
”竹林の七賢”のひとり、嵆康(けいこう)の子である嵆紹(けいしょう)を評した言葉。その立派な佇まいから、ニワトリの群れの中に一羽だけツルがいる様に見えたという。
そのような有力者が発する言葉が鶴の一声(つるのひとこえ)。
鷺を烏(さぎをからす)
ものの道理を強引に言い曲げること。
”鷺を烏と言いくらむ”が元のことわざの形。
白いサギを黒いカラスだと言い張るように、明らかな間違いを無理やり押し通そうとすることから。
白と黒の対比でこの二種の鳥が用いられることは多く、烏鷺の争い(うろのあらそい)と言えば、囲碁で勝敗をつけることをいう。
類語
似た意味の言葉としては、「這っても黒豆」、「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」などが挙げられるでしょうか。
夜鶴(やかく)
子を思う親の深い愛情。
『白居易ー五弦弾』の一文、”夜鶴子を憶い籠中に鳴く”を原典とする故事成語。
「夜の鶴(よるのつる)」でも同様の意。
式子内親王(しょくしないしんのう)の和歌をふと思い出しました。
鳴く鶴の思う心は知らねども夜の声こそ身には沁みけれ
(鶴が何を思い鳴くのかは存じませんが、夜に鳴くその声は身に深く沁みるものがあります)
烏兎怱怱(うとそうそう)
月日の流れがはやいことを表す言葉。
カラスは太陽に棲み、ウサギは月に棲むという中国の伝説から、”烏兎”とは歳月のことで、”怱怱”は慌ただしいさま。
日本では、神武東征神話(東=日出づる方角)で神武天皇を導いたとされる八咫烏(やたがらす)も太陽神の使いとされる。
そういえば過去にも紹介しましたね。
このブログの中でもアクセス数上位の人気記事らしいですが…。
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以上、「鳥の名が使われる難解語」でした。