賢見思斉(けんけんしせい)という故事成語があります。
訓読にすれば、”賢(けん)を見ては斉(ひと)しからんことを思う”。
これは、賢い人を見ては、自分もそのような人になりたいと思うことという意味です。
あらゆることに関して、その道に卓越した人に対し、羨ましく思ったりするものです。が、その裏には多くの人生経験や長期に亘る勉学の継続という一朝一夕には成し得ない陰の努力がものがあるのです。
さて、今回は知徳に優れた人、というべきでしょうか。賢い人を表す四字熟語を紹介します。
一目十行(いちもくじゅうぎょう)
書物などを読む速度に優れていることのたとえ
一目で十行分の文章を読むことができるという意から。梁(りょう)の簡文帝(かんぶんてい)が幼少から優れた知能を持っていたというエピソードが由来。
いわゆる速読の達人。現代ではそれができることをひけらかす人も時々いますが、あまり良いイメージはもてませんね…。ある程度のスピード感をもって読書をすることは良いとは思うのですが、書物は熟読玩味(じゅくどくがんみ)が基本ではないでしょうか。
一挙三反(いっきょさんはん)
頭の回転が速く、一から類推してほかの多くの事を理解ができることのたとえ
一を聞いて十を知るという誰もがよく知る諺がありますが、それを四字熟語で表現するとしたらこれになるでしょうか。
教える価値のある人について、孔子は、”四隅を持った物の一つを示せば、残りの三隅を自分で類推して答えることができる(ような人)”といった故事から。
眼光紙背(がんこうしはい)
書かれた言葉の真意まで見通す理解力、読解力があること
多くの場合、「眼光紙背に徹す」と続く。
現代でも時々使われる言葉で近いものを挙げるなら、「行間を読む」でしょうか。こちらは、”隠された意図や意味を読み取ること”という意味になります。両者の違いを考えるならば、眼光紙背は力量、行間を読むは手法ということになりますかね。
博覧強記(はくらんきょうき)
広く書物を読み、多くの物事を記憶していること
「博覧」は多くの分野の書物を読んでいること、「強記」は記憶力のよいことを表す。
いわゆる「物知り」ですね。
似たような意味の四字熟語に博学多才(はくがくたさい)があります。対義語を挙げるならば、浅学菲才(せんがくひさい)でしょうか。
才気煥発(さいきかんぱつ)
才能がさかんに現れているさま
”才気”は優れた才能や鋭い頭の働き、”煥発”は輝くように現れていること。
プロスポーツや舞台芸能で輝かんばかりの活躍をしている人は、まさに「才気煥発としている人」と言えるでしょう。
一方で、才能があるにもかかわらず、それを発揮する機会に恵まれていない人、表には出ていない影の実力者を表す「伏竜鳳雛(ふくりょうほうすう)」という四字熟語もありますが、これが対義語になるでしょうか。
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千里の道も一歩からと言いますので、手近なところからスタートしていけばよいのですね。ローマは一日にして成らずですが、塵も積もれば山となります。
それでは!