漢字をどうすれば効率的に覚えられるかというと、その字を反復して書くことは勿論大事なのですが、一度大きく紙に書いてみるのが私のお勧めする方法です。
大きく書くことによって視覚的な記憶がより脳に刻み込まれますし、その大きな字を数分後にふと目にする機会も余計にあるでしょうから、自ずと反復効果も期待できます。
ただ、反復が良いと言っても、一度の機会に何個も書くというのは、労力の割に効果が薄いみたいですね。
一挙に十回書くよりも、一度書いて、その一日後・一週間後・一ヶ月後に一回ずつだけ書くほうが遥かに効率的だそうで。
小学生の時に、百字帳に同じ字を何度も書かされていたような気がしますが、あれは一体何だったんでしょう。
今日は、似た漢字で組み合わされた熟語を紹介。
三豕渡河(さんしとか)
似た文字の書き違いや読み違い。
”三豕”とは三匹のブタのこと。
”己亥渡河”「己亥(つちのとい)の年に河を渡る」と読むべきところを、
”三豕渡河”「三豕、河を渡る”」と読み誤ったという故事が元。
出典:『呂氏春秋』
関連:
亥豕之譌(がいしのか)
(上記の故事より)文字の書き間違いのことを広く表す言葉。
”譌”とは誤りのこと。字が煩雑なので大きいフォントを表示しておきます。
亥豕之譌
虎虚之誤(こきょのあやまり)
「虎」と「虚」の字が似ていることから、同様に似た文字の書き間違いや読み間違いのこと。
已己巳己(いこみき)
よく似ていて見分けのつきにくいことのたとえ。
「已」「己」「巳」それぞれの形が似ていることから。
已己巳己
二番目と四番目の”己”は同じ字。
また、これに「巴」という字を加えて已己巳己巴(いこみきどもえ)と言ったりもするそうです。
烏焉馬(うえんば)
間違いやすい文字のこと。また、文字を書き違えたり読み違えたりすること。
「烏」「焉」「馬」の形がそれぞれ似ていることから。
烏焉馬
日本語仙人:烏(からす)と鳥(とり)はたまにうっかり読み違えるのう。
関連:
魯魚章草(ろぎょしょうそう)
「魯」と「魚」、「章」と「草」のように、似ているがために書き誤りやすい文字のこと。
魯魚章草
魑魅魍魎(ちみもうりょう)
人間に危害を及ぼす化け物の総称。また、私利私欲のために悪行を為す者たちのたとえ。
漢字は難しいが、それ故に知名度が高い四字熟語代表。
”魑魅”は山林から生ずる山の化け物。「すだま」とも読む。
”魍魎”は山川から生ずる水の化け物。「みずは」とも読む。
魑魅魍魎
関連:
百鬼夜行(ひゃっきやこう)
人目につかない場所で悪人達がはびこり、悪事を働くこと。
ーーーーーーーーーーーーーー
デジタル化に伴い、文字を書く機会というのは大幅に減りました。
「使う必要がないから劣化しているのだ」と言われればその通りなのですが、手書きのメモや手紙といったものは、微妙な感情や想いを伝える手段として機械的な文章の羅列とは一線を画すものです。その位置づけは今後も変わらないでしょう。
日本語仙人:急激に失われつつあるワシらの集中力も、娯楽の蔓延するこの世の中に適応した結果なんじゃろうか。
…そうだな。
以上。