最近読んだ物語に風車(かざぐるま)が出てきていたのですが、私はそれを頭の中でずっと”ふうしゃ”と読んでいました。
わりと後半に差し掛かるぐらいで、「持っていた風車を…」という一文が出てきてようやく気付かされたのです。
当然違和感はありましたよ。そんな簡単に子どもの判断で風車(ふうしゃ)を回したり止めたりして良いのかって。
そういや小学生くらいの時、テレビを見ていてテロップにあった”夫婦漫才”を「ふうふまんざい」と読んでしまい、すぐ傍にいた母親に「”めおとまんざい”って読むんやでぇ~」と、少ない知識を光らかす千載一遇の好機に恵まれて、さも鬼の首をとったような顔をされたのがあまりにも口惜しく、魂を揺さぶられるほどショックを受けたことがありました。
他にも、保健体育だか書道だか道徳の時間で”背筋を伸ばし…”を「はいきんをのばし」と読んで恥をかいたことがあったのを思い出します。今思えば全然恥ずかしいことではなかったのですが。
今でも大人気(おとなげ)ないという表記を見ると、つい「だいにんき」と読んでしまいそうになります。
でもまだ文脈で容易に読み方が判断できるものはいいですよ。
例えば”人気”という表記。
・若い女性に人気のキャラクター → にんき
・人気のない裏通り → ひとけ
訳も無いことだと思います。
ただ、「人気のない酒屋」となればどうでしょう。うーん、小説などで出てきたら「ひとけ」、ビジネス書にかかれているのなら「にんき」なんじゃないかなあと推察はできますが、どっちの読み方でもアリです。
文章としては悪くないのに、読み手泣かせになっていることって意外と多いので、気を付けようと思いましたね。先に紹介した風車の件は完全に私の視野の狭さが問題だったんですけれど。
さて今回は、複数の読み方が可能な熟語を紹介していきたいと思います。
・「風車(ふうしゃ・かざぐるま)」のように、読み方が異なると意味が変わる熟語
・「夫婦(ふうふ・めおと)」のように、読み方が異なっても意味は変わらない熟語
と、分類をしています。
目次
読み方が異なると意味が変わる熟語
色紙(いろがみ・しきし)
”いろがみ”と読んだ場合は、折り紙などで使われる着色された紙のこと。
”しきし”と読んだ場合は、サインや絵などを書くときに使われる厚手の紙のことを表す。
一寸(ちょっと・いっすん)
”ちょっと”は物事の程度が僅かなことを表す副詞。
”いっすん”は長さの単位。尺の十分の一の長さで、およそ3.03センチメートル。「一寸法師」「一寸先は闇」など。
変化(へんか・へんげ)
”へんか”と読むと、物事が別の状態や性質に代わることを表す。
”へんげ”だと、人や動物がその姿を変えて現れることを表す。「妖怪変化」「七変化」
好事(こうず・こうじ)
”こうず”は、珍しいものを好む、物好きのこと。「好事家」
”こうじ”は、良い事、良い機会のこと。「好事魔多し」「好事門を出ず」
物好きを表す好事家(こうずか)と、よいことにはとかく邪魔が入りやすいことのたとえとして用いられる好事魔多し(こうじまおおし)は、その読み方を問われることが多いので、漢字検定や日本語検定などを受けようと考えている方は、覚えておいた方が良いかもしれません。
読み方が異なっても意味は変わらない熟語
遺言(ゆいごん・いごん・いげん)
故人(死んだ人)が死後の為にのこした文章のこと。
日常的には”ゆいごん”だが、法律用語としては”いごん”と読む場合が多い。
昆布(こんぶ・こぶ)
食材として広く利用される海藻のひとつ。
現在では”こんぶ”が一般的。「昆布茶」は”こぶちゃ”と呼ぶ。今でも”こぶ”と呼ぶご年配の方は多い。
梅雨(つゆ・ばいう)
この時期は湿っぽく黴(カビ)が生えやすいことから、もともとは「黴雨」という表記だったそうです。”黴”じゃ印象がよろしくないので、日本に馴染み深い同音の”梅”に書き換えたとか。”毎”日のように雨が降るから”梅”にしたとか、いろいろな説あり。
礼拝(れいはい・らいはい)
どちらで読む場合も神仏を敬って拝むことなのですが、”れいはい”はキリスト教、”らいはい”は仏教だと覚えておくといいです。
最後に
同じ表記でも複数の読み方がある熟語はほかにもたくさんあります。よければ調べてみてください。
漢語と和語で意味が異なる言葉(熟語)も過去記事にまとめてあるので、ご一読お願いします。