悪目立ちする行動をとってしまった人間は、冷ややかな視線を向けられてしまうことがあります。
例えば、そこらじゅうで叫び暴れまわり、嘔吐をしてしまう酔っ払い。
脇目もふらずに公共猥褻を演じるアベック(死語)。
あらゆるサービスに難癖をつけたがるクレーマー。
公共の場で傍若無人な振る舞いをしていると、もれなく周りから「白い目」で見られてしまいます。
さて、「白い目で見る」というのは、蔑(さげす)みを含んだ冷淡な目つきを人に向けるという意味です。「白い目で見られる」という受け身の形で使われることが殆どでしょう。
中国の三国時代末期、竹林の七賢のうちの一人である阮籍(げんせき)という人が、気に入らない客には白い目(白眼視[はくがんし])で対応したという故事が由来になっています。
実際には、ホラー映画に出てくるオバケよろしく純度100%の白目をしていたわけではなく、相手と目を合わせない様子(黒目を向けない)を「白い目」と喩えたものだと思われます。
これとは反対に、歓迎の意を込めて接する様子を「青眼(せいがん)」といいます。
併せて、「冷たい視線と暖かい視線」という意味を持つ「白眼青眼(はくがんせいがん)」という四字熟語も覚えておいて損は無いでしょう…。
相手によってコロコロと態度を変える人の性格を表現するときに使えそうです。
このごろは、電車でついせき込んでしまっただけでも白い眼差しが飛んでくるようになりました。
例の感染症が話題になっているがために、些細なことで過剰に反応をしてしまう人間のみいはあ(死語)なところは、いつの時代でも変わりはありません。
ウイルスの”収束”後も、その健康意識を持ち続けていたいものですね。