こんばんは。
世間は大型連休と改元の話題で持ちきりですね。
今の天皇陛下[今上(きんじょう)天皇]が皇位を退き(譲り)、いまの皇太子さまが天皇に即位されるわけですが、報道機関によっては、「退位」や「譲位」、また「生前退位」などとそれぞれ違った表現で報道されるのを目にしたかと思います。
「言い方が違うのはなぜ?」「どれが適切なの?」
と、困惑した方も多いと思います。
それぞれの言葉の意味を確認していきましょう。
・「退位」
君主(その国の最高位の人)がその地位を手放すこと。
地位の継承先に関わらず、地位を手放すことを「退位」というそうです。
天皇は今の地位を手放すわけですから、「退位」は間違った表現ではありません。
多くの報道機関がこの表現を用いています。
・「譲位」
存命中に地位を後継者に譲り渡すこと。
今回の件は、皇位の継承先が決まっているので、退位であると同時に「譲位」です。
後継者を立てているというバックグラウンドもこの言葉に含まれているため、「退位」よりもより詳細な表現だと言えます。
ちなみに、天皇が譲位されるのはおよそ200年ぶり「江戸時代の光格天皇(在位:1780年~1817年)以来」とのことです。
・「生前退位」
今回は特例だとして、「生前」を付けることで意味合いを補足した表現です。
2016年に天皇が意向を示された後しばらくは、この表現が各報道機関で用いられました。
しかし、「生前」をつけることは死後を前提とすることになるので、非礼にあたります。礼節や礼儀を重んじるのが日本、そして日本語ですから、ふさわしい表現とは言えません。
2019年現在でこの表現を用いるメディアは見られなくなりました。
以上を見てみますと、日本語的には「譲位」が最もふさわしいかと思います。
「退位」も間違いではないのですが、より詳細に伝えるため、皇室に配慮するためには「譲位」と表現すべきだと思います。
使い分けがさほど難しいわけではないので、敢えて「譲位」と表現しない各報道機関には何らかの意向があるのかもしれませんね。
どの表現を用いているかが、各報道機関の主義思想を探る試金石となり得るかもしれません。
平成最後の更新となりました。
新元号(令和)からも頑張ってまいります。
それでは。