日本語仙人の難しい日本語

漢字の読み書き、常套句、ことわざや格言、間違えやすい言葉―。中・上級レベルの日本語を紹介。

全国各地の難読駅名(その2)

草津といえば、群馬県にある「草津温泉」が一番に思い浮かびがちですが、我々関西の人間からすれば、琵琶湖の玄関口である滋賀県草津市も馴染みが深いです。

「住みやすい街ランキング」みたいなのに草津市が挙げられているのを良く目にしますし、とりわけ乳幼児人口が増えているのは特筆すべき点です。

兵庫県明石市などが最たる例ですが、今後子育て支援に積極的な自治体が発展していくことは間違いなさそうです。

 

今回も難読駅名でございます。

 

↓前回

www.nihon5000nin.com

 

(1)九品仏

(2)太秦

(3)特牛

(4)酒々井

(5)左沢

(6)飯給

(7)帷子ノ辻

 

(1)~(7)の読み方を答えよ。

(下に答えが続きます。)

※駅名の由来は諸説あり、ここで紹介するもの全てが正確とは限りません。詳細な情報は、地元の公文書館や鉄道会社の公式資料をご覧になってください。

 

(1)九品仏(くほんぶつ

https://www.google.com/maps/

所在地:東京都世田谷区

駅を下車してすぐに九品仏浄真寺の参道がある。

寺には九体の阿弥陀如来像が祀られている。

 

(2)太秦(うずまさ

https://www.google.com/maps/

所在地:京都府京都市

機織りの技術集団であった秦(はた)氏は、絹や布を”うずたかく”積み上げて朝廷に献上していたことから、「兎豆満佐」と姓を与えられた。これに”太”を加えて、「秦氏の拠点」を意味する「太秦」となった。『日本書紀』

東映太秦映画村という体験型テーマパークがあり、読みは難しいが認知度は高い。

 

(3)特牛(こっとい

https://www.google.com/maps/

所在地:山口県下関市

”特牛”とは大きな牡牛(おうし)のことで、「こてい・ことい・こってい」など、複数の読み方をする。

かつて和牛の牧畜が盛んな地域であったことや、日本海に面する小さな入り江を琴江(ことえ)と呼んだことから、その語呂変化でこのように呼ばれるようになったという説がある。

特牛烏賊(こっといいか)は地域の名物。

 

(4)酒々井(しすい

https://www.google.com/maps/

所在地:千葉県印旛郡

孝行息子の『酒の井伝説』が由来。(出処:酒々井町ホームページ

「しすい」と読むようになったのは、「酒々井(しゅしゅい)」の音変化だと思われる。

 

(5)左沢(あてらざわ

https://www.google.com/maps/

所在地:山形県西村山郡

山岳信仰の山として知られる日光山から東(太陽が昇る方角)を見て右手側を「右沢(かてらざわ)」というのに対し、左側を「左沢(あてらざわ)」といったとする説や、かつてこの地の領主だった大江氏が長岡山に登頂した際、左に見えた山谷を「あちの沢」と呼んだことが由来だとする説など、様々。

最上川が大きく湾曲している景観が美しいこの土地ですが、その湾曲具合が生育環境により傾いた木の幹のようである(建築業界では、そのような特殊な性質を持った扱いづらい木材を「アテ」と呼ぶ)からそのように呼ばれるようになったという説もネットで見かけました。

www.google.com

面白い。他の説と比べると可能性はかなり低いと感じてしまいますが、中々鋭いセンスをお持ちの方もいらっしゃるもんです。

 

(6)飯給(いたぶ

https://www.google.com/maps/

所在地:千葉県市原市

壬申の乱(672年)に敗れ、逃げ下った弘文天皇一行に食事を献上したとされる伝説が元。

飯給駅前の白山神社は祭神が弘文天皇。

 

(7)帷子ノ辻(かたびらのつじ

https://www.google.com/maps/

所在地:京都府京都市

(2)の太秦と隣接している駅。

嵯峨天皇の后である檀林(だんりん)皇后の葬送の際に、棺桶を覆っていた帷子(かたびら)の衣が風に吹かれて落ちた場所、或いは彼女の遺体が放置された場所に由来する。

檀林皇后は周りの僧が心動いてしまうほどの美貌の持ち主であったが、宗教観の強い彼女は「この世のものに執着すべきでない」という考えの元、”無常”を示すために自身の死後、遺体を埋葬せずどこかの辻に捨てて鳥獣の餌にせよと遺言を残していた。

 

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以上、全国各地の難読駅名(その2)でした。

地名に限らずですが、由来はいくつもの説があり、調べ上げるのにはかなり骨が折れますね。

難読駅名はこれでひとまずお終い。

 

今後ともよろしくお願いいたします。