日常で見聞きする何気ない言葉に対し、「あれ、これってなんでこう言うんだろう。」と疑問を持つことは、とても素敵な閃きです。
そんな閃きが降りてきたとしても、「何でだろうねえ」で払いのけてしまったり、「またあとで調べよう」と思いはするものの結局忘却の彼方にしまいこんでしまう、という勿体ないことが、これまでに幾つあったことやら。
ふとして上がってきたものは、同様にふと消えてしまうものです。
こういう時、自分というのが唯一にして最後の砦なのです。機会を逃せば、次にめぐり合うのはいったいいつの日になることやら。
そこで”記録”することが大事になってくるわけです。
ふと浮かんだアイデアや疑問などをすぐにその場でノートに書き留めておくことは、是非とも身につけておきたい習慣の一つといえますね。
”ふと降りてきたアイデアをすぐにノートに書く習慣をつける”
これが、毎日続ける新年の目標として私が掲げたものの一つです。
今回は、そのノートからの出題でございます。
たわけ
おろかもの。考え方がふざけていること。
岐阜や愛知県のあたりでは、「ばか」や「あほ」よりも一般的に使われているのだとか。
「戯け」と漢字が充てられていますが、本来は「田分け」だそう。こうするとこの言葉の由来が見えてきます。
田分けとはおろかな財産相続の分割方法のことを言い、親から子へ、子から孫へ、孫から曾孫(ひまご)へ、曾孫から玄孫(やしゃご)へ… と、代が進むにつれて、田畑が狭小化していき収穫量が減りやがて家計が衰退してしまいます。
けりがつく
物事の決着がつくこと。
「けり」とは、古文において、過去・詠嘆の意味を持つ助動詞の終止形。
和歌や俳句には「けり」で終わるものが多いことから。
ひょんなこと(から)
思いがけず。意外なきっかけで。
「ひょんなことから異世界に転生した僕は~」「ひょんなことから耳かき棒をコレクションし始めた彼女は~」など、物語のあらすじなどで良く用いられる慣用句。
イスノキというヤドリギの一種が”ひょん”と呼ばれていて、それが大変に珍しいものだったため、”ひょんな”は、「偶然にも~、思いがけず~」を表すようになったと言われています。
うわばみ
大酒飲み。
漢字表記は”蟒蛇”、または一字で”蟒”とする場合もある。
蟒蛇とはニシキヘビなどの大型の蛇の総称で、八岐大蛇(やまたのおろち)もこれに含まれます。八岐大蛇は日本神話でよく知られる通り、酒が大好物。「八塩折の酒」の痛飲により、討伐されてしまいます。
左利き
同じ”大酒飲み”を表す言葉として、こちらも紹介。
大工や鉱夫は右手に槌、左手にノミをもつことから、右手を「ツチテ」、左手を「ノミテ」と呼んでいたそうです。「ノミテ」→「飲み手」という駄洒落から、大酒飲みを「左利き」というようになりました。「左党」は、その派生。
つつがない
無事平穏である。健康に過ごしていること。
漢字表記にすると”恙無い”。この「恙」とは、病気や心配事のことを言います。
これが”無い”のですから、「何も憂いが無く、健康である」となるわけですね。
ダニの一種であるツツガムシの名前も、これが由来。このツツガムシに吸着されると、ツツガムシ病という危険な病に感染することがあります。
今では特効薬があり、早期に適切な処置を施せば軽快するそうですが、昔は”恙”という冠を背負うほどに厄介な虫だったというわけですね。
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以上、「由来が面白い慣用句」でした。