日本語仙人の難しい日本語

漢字の読み書き、常套句、ことわざや格言、間違えやすい言葉―。中・上級レベルの日本語を紹介。

数字を含む故事・ことわざ(その1)

数字を含む故事やことわざを紹介していきたいと思います。

数字が入っていると、捻った喩えというよりは、読んで字のごとくという直截簡明(ちょくせつかんめい)なものが多いといった印象がありますね。

 

 

今日の一針、明日の十針(きょうのひとはり、あすのとはり)

先延ばしをすると、かえって手間がかかってしまうこと

今日なら一針縫えば済むのに、明日になると綻(ほころ)びが拡がってしまい、十針を縫わなければならなくなってしまう。面倒ごとの先延ばしは却って事態が大きくしてしまうという戒めの言葉だ。

思い立ったが吉日。 善は急げ。 明日ありと思う心の仇桜。

 

十遍読むより一遍写せ(じっぺんよむよりいっぺんうつせ)

何度も読むより一度書き写すほうがより理解が深まる

十読は一写に如かずとも。

読むだけより書き写した方がよいのは確かですが、う~ん十回も読めばさすがに…。

記憶の定着のためには、期間をあけて再度同じように学習しなおすことが効果的だと言われています。一遍一遍に期間を設ければ、十読は一写に勝るのではないでしょうか。

 書き写すのも、一回では不十分ですね。二写目、三写目も行ってみるべきです。

 

十で神童、十五で才子、二十過ぎれば只の人(とおでしんどう、じゅうごでさいし、はたちすぎればただのひと)

幼少期は秀才だと騒がれていた人も、大人になってみれば凡人になってしまうことが多い

 私の「日本語仙人」というのも、実は幼少期の称号でした。今や見る影もなく、世の中のお役に立てる人間とはとても言えたものではありません。

多くの場合、単に早熟だったり、特定のことに興味関心があるだけだったりします。

 

悪妻は六十年の不作(あくさいはろくじゅうねんのふさく)

品行の悪い妻に引っかかると、人生を無駄にしてしまう

結婚してから六十年となると、多くは死んだ後にも不作が続くことになります。つまり、自分の子の代にまで影響してしまうのです。

悪妻は夫を哲学者にする”はソクラテスの言葉。

何をもって悪妻とするかは夫の主観的な価値判断に過ぎないのは確かですが…。

 

人生七十、古来稀なり(じんせいしちじゅう、こらいまれなり)

七十歳まで生きるのは昔から滅多にないことである

詩聖と呼ばれた杜甫(とほ)の『曲江』が出典。七十歳のことを古稀(古希)というのは、これが元になっています。

杜甫は西暦700年代を生きた方で、その当時の寿命事情を語っているので、「人生100年時代」などと呼ばれる現代にはそぐわない表現です。

しかし原典を読むと、その文脈からは当時の寿命の統計的な意味合いというよりも、「人生は短いのだから、せいぜい今のうちに楽しんでおけ」というメッセージが強調されていることが分かります。

 

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以上、数字を含む故事成語・ことわざでした。

今回は「十」が入っているものばかりでしたので、まだまだ多くが紹介しきれておりません。次回もお楽しみに。

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