今日は 「おざなり」と「なおざり」という混同しやすい二つの表現について記事を書いていこうと思います。字面が似ている為、同じ意味で単純に発音だけが異なるものと認識されることが屡々(しばしば)ありますが、この二つの表現には明確な違いがあります。
奇しくも、両者共に「いい加減な対応をする」という意味で捉えられるのが混乱を引き起こす種となってしまっているようですね。
「どっちがどっちだったっけ?」を無くすなら、漢字や語源を調べてみましょう。
漢字や語源を知れば、二つの表現の違いがはっきりと見えてきます。
・おざなり
その場だけの間に合わせ。手抜きのやっつけ仕事。
漢字表記は「御座形」。
「御座(敷)での形」という意味で、取り繕いの上辺だけの言動のこと。
「御」が付いているので丁寧な言葉のように見えますが、敢えて付けることで皮肉を利かせた表現となっています。漫画やアニメで悪役が言う「御遊びは終わりだ…」などと同じ用法です。
・なおざり
何も対応しないこと。仕事放棄。
漢字表記は「等閑」。「とうかん」という同じ意味の漢語から取ってきた当て字。読み方クイズで頻出の漢字ですね。「閑」は「閑古鳥が鳴く」のように、人の手が付けられていなくて放置された状態のことを表す漢字です。何もしないのに等しいと覚えるのがいいかもしれません。
「なおざり」は本来「なお」と「ざり」に分けられ、「なお」は以前の状態が続いていることを表す「猶」、「ざり」は「(~)ぞあり」の音変化だとする説が有力だとされています。
・両者の違い
二つの表現の違いは、物事への対応があるか無いかです。あるのが「おざなり」、無いのが「なおざり」。
例えば、学校から宿題が出されたものの、全く手を付けないでいる状態が「なおざり」。宿題には手を付けたが、内容が滅茶苦茶で無理やりノルマまで持っていった様な状態が「おざなり」と言うわけです。
それと、なおざりは「以前の状態が続いている」ことを意味しますので、時間も絡んで来ます。
上の例で言えば、いつも宿題には手を付けているものの、それのやり方がぞんざいなのが以前と変わっていないという状況であれば、「おざなり」であり、同時に「なおざり」でもあるということです。
少しややこしいですが、「おざなり」と「なおざり」について分かっていただけたでしょうか。
それではさようなら。