日本語仙人の難しい日本語

漢字の読み書き、常套句、ことわざや格言、間違えやすい言葉―。中・上級レベルの日本語を紹介。

「ユメユメ」油断するな 「ズタズタ」に引き裂かれる 漢字でどう書く?

どうもこんにちは。

前回に引き続き、(畳語〔じょうご〕)の漢字をピックアップ。第二弾。

そうです。あの「」が活躍するあれです!

 

さっそく問題に移りましょう。下線部のカタカナを漢字に直してみてください。

 

 

1.ユメユメ油断はするな。

 難易度★★★☆☆

 

2.モロモロの事情でここへ参りました。

 難易度★☆☆☆☆

 

3.ワザワザ来てくれてありがとう。

 難易度★★★☆☆

 

4.お噂はカネガネ伺っております。

 難易度★★☆☆☆

 

5.私の心はズタズタに引き裂かれた。

 難易度★★★★☆

 

 

 

↓正解と解説

 

1.努々油断はするな。

解説:

努(ゆめ)とは、あとに禁止を表す語を付けて、「決して~(するな)」と言う意味を持つ副詞。また、打消しの語を付けて、「少しも~(ない)」とも。

「努(ゆめ)油断するな。」とも言い換えられるわけです。

その努(ゆめ)を重ねて意味を強めたのがこの「努々」。

 

 

2.諸々の事情でここへ参りました。

解説:

ほとんどが「諸々の~」の形で用いられます。意味は、「色々とたくさんの」。

ビジネスでよく使われる言葉でもありますので、すんなりと漢字が浮かんだ方もおられるでしょう。

 

 

3.業々(態々)きてくれてありがとう。

解説:

日常的に使われている言葉ですが、漢字から読みを当てるのすら難しい問題です。

「業々」でも「態々」でも正解。一般的には「態々」と漢字を充てます。

ただし、態(わざ)と(=故意に、意図的に)という言葉は、マイナスのイメージを持つ表現だとして、例文のように、感謝や労いの場面では「業々」を使った方がいいという考え方もあります。「ワザワザ来たのに成果がゼロだった」などの落胆を表現している文脈では、「態々」を充てるということです。

」とは、もともと姿や身振りを表す漢字です。英語でいうと”pose(ポーズ)”に近いでしょうか。(態勢・態度・様態・醜態 etc..)

 

4.お噂は予々伺っております。

解説:

 あらかじめ、前々から、という意味の「予(かね)て」という漢字が思い出せれば正解できる問題。

因みに「予てより」という言い方は一般的には浸透してはいますが、厳密には同じ意味やニュアンスを含む表現(=重語)です。だからといって目くじらを立てる必要はまったくありませんが、可能であれば気を付けたほうがいいかもしれません。

 

 

5.私の心は寸々に引き裂かれた。

 解説:

そもそもそんな漢字があるんかい!といった感じですが、あります。

寸々」とは 細かく切れ切れになること。

「寸」には「ごく僅(わず)かな」という意味があり、「寸毫」「寸劇寸善尺魔」(・・・この世は良いことが少なく悪いことが多いことのたとえ)などの熟語に使われています。

因みに、「ズタズタのボロボロ」を漢字表記にすると「寸々の襤褸々々」となります。

 

 

以上です。

選択問題でもないので、難しいですよね。

 

いつもありがとうございます。

お疲れさまでした。